車中泊を始めて6年(運転歴35年)、カメラは8年のアマチュアカメラマンです。
このブログは、スマホカメラではイメージ通りの写真が撮れず、大きなレンズが付いたカメラを買ってみたものの、まだモヤモヤしている方を想定して書いています。
この8年間でプロカメラマンやハイアマチュア先輩のアドバイスを通じて、自分で実践してきたり感じたことをまとめたもので、構成は以下のとおりです。
1.写真の種類とは? ←本稿
プロの先生方やハイアマチュアの方には「笑止」、と思われることがあると思いますが、一つの捉え方と大目に見て頂ければ幸いです。
このブログの読者として想定されている方は、これから本格的にきれな写真を撮ろうとされている訳ですが、その気持ちを再確認するために、最初に写真の種類(分類)について述べたいと思います。
1.写真には二種類ある?
近年のスマホカメラの性能向上で、フルサイズ一眼レフカメラとそん色のない写真が撮れるようになりました。
それに呼応して、デジタル一眼レフやミラーレスカメラの技術進歩にも目覚ましいものがあります。
このようにハードは格段に良くなっていますが、それでも写真には昔から大きく分けて二種類しかない、と思っています。

一つは、上の写真のような記念(記録)写真で、もう一つは写真による芸術表現です。
記念写真のすごいところは、その写真一枚で、その行事に参加した人たちに、そのときの周りの情景や、そのときの天候、食事の場面であればその味さえも思い出させることができるという点です。
まさに写真を通して、写っていない周りの景色や時間の前後の情景を、その場にいた人たちに見せている、と言えます。
また、写真として構図が少しおかしくても、参加者は誰も文句を言いません。
一方、芸術表現の写真は、写真に写っていない部分は全く考慮されません。写っている内容だけで季節感や、雰囲気など見る人に感動を与えなくてはなりません。
勿論、その場に居なかった人に、その写真で周りの雰囲気など写って無いものを見せる(連想させる)ことができれば最高です。
上の写真は、あるお寺の壁際のツバキですが、撮影場所がお寺かあるいは壁際かどうかは意味がなく「赤い花と艶やかな葉っぱがいいな」と思い、それを表現するために、ISO感度を落とし、シャッター速度を早くして撮りました。
その結果、周りが黒く沈んで、写っているツバキに最初に視線が行き、赤と艶やかな緑、黒の対比という狙いはうまく行ったと思います。
鉄道写真家の中井精也氏は、その著書等で「もしも世界に僕一人だけだったら、写真なんて撮らないと思います。」と言っています。
これはその時の感動を、写真を使ってその場にいなかった人にも伝えたい 、という思いから出た言葉です。
それで人々は、カメラを向けて撮影するのですが、素人とプロでは、素人の写真は何を写したのかは分かっても、プロの写真のように、「すごくきれい!」とならないのが多いのも事実です。
プロは、その感動を表現するための技術・技能(センス)を持っているために、そのような差が生じます。
カメラの良し悪しはあまり関係ありません。
その点で他の芸術、絵画や音楽などと何も変わりません。
今はシャッターを押すと、ピントはシャープで、ブレの無い写真が簡単に撮れます。
ということは、機械の性能差の壁は大きく下がっていて、芸術的表現をしようとした場合、どう表現するかかえって条件設定が難しくなっているといえます。
ここで、記念写真の範疇に含まれるものの、撮影目的が違う記録写真についてちょっと補足します。
記録写真と言えば、イベントの記録や、公共工事の前後の記録、事故や事件現場の写真が思い起こされます。
これらには芸術性は一切求められず、状態がはっきり分かるように撮ることが求められます。
では記録写真に芸術的な要素はないのでしょうか。
記録写真であっても上のツバキよりもっと芸術的な写真があります。
それは、スポーツ写真のような千分の一秒を写し取った決定的なものや、時代や社会の記録写真のようでありながら、人に訴えかける写真家田村彰英氏の作品、人物写真やスナップ写真の写真家木村伊兵衛氏の作品などです。
本来なら、それらの作品を紹介すべきですが、著作権の関係からここでは示しません。各氏の作品は、例えば「田村彰英 写真家 作品」としてググってご覧ください。
先に示した仲間内の記念写真が、参加した人に共通の記憶をよみがえらせたのに対し、いま例にあげた3種類の写真は構図や色調のすばらしさの他に、その場にいなかった(参加してない)人にも、周辺の様子や時代の雰囲気をも伝える力(想像させる、感動させる)があるという特徴があります。
そのような芸術的記録写真にアマチュアカメラマンが挑戦するのは難しく、考え方が混同するので、ここでいう記録写真は冒頭の記念写真を指すことにします。
ということで、写真には大きく分けて記念(記録)写真と芸術的作品の二種類しかない、というわけです。
次に、記録的ではない芸術的な写真について述べます。
その代表格は写真家植田正治氏の作品ではないでしょうか。 氏の代表作の中に、「小狐登場」というキツネのお面を着けた少年が砂丘から飛び出す写真があります。
少年の周りは「覆い焼き」で明るくされていて、少年の姿に視線が行くように計算されています。これ以外の作品でも写っている人物の動きは不自然で、それが意図されたものであることは明確です。
それでいて、作品は見る人に不思議な感動を与えます。
ここで、芸術的作品とはこの植田正治氏の作品や各ジャンルで活躍されている写真家の作品、あるいはアマチュアでも芸術的に撮ろうとした作品であって、その写された内容だけで見る人に感動を与えるもの、と定義しておきます。
また、芸術的作品の被写体は何でもいいのですが、このブログでは主に風景写真を取り上げ、その撮影術(技術、技能)について説明します。
2.影響を受けた写真家と撮影術 ←次の話題です。
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