きれいな写真を撮りたいと試行錯誤されている方へ、プロのアドバイスを含めた撮影術(2番目の項目)についてお伝えします。
2.影響を受けた写真家と撮影術
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2.影響を受けた写真家と撮影術
自分がこれまで「なるほど。」と思って撮影に生かしている技術や技能を撮影術としてここで書いていきます。なお以下の先生方の発言は、もっぱら初心者の自分への助言であって、当然先生方の技能・技術を表すものではありません。
2-1.福田健太郎
風景写真家福田健太郎氏は、以前の職場の写真倶楽部で指導を受けた先生です。その福田先生から一番影響を受け、基礎的な考え方を学びました。
a. 作品を見たとき、 視線がどこに行くか、が大事
作品のプリントを見たとき、撮影者の注目ポイントに見る人の視線が誘導されるような構図・構成になっているか、撮影者の意図が伝わって一瞬で人を引き付けることができるか、ということです。
それにはやはり構図が大事です。
構図について studio9 のサイトできれいな写真と共に詳しく解説されていますので、一度ご覧ください。
b.風景写真では空の入れ方に注意
風景写真では空の写り込みはよくあることですが、 通常、写真の中では空は他より明るい部分となります。するとそちらに目が行き易いので、空を入れるのが目的でない場合、上の a.の考え方から空が写り込まないようにして撮影対象物を明確にするようにということです。
クリックして大きな画像で見ると、最初の写真では視線が湖の奥に行くのに対し、空が写り込んだ下の写真は視線がさまよう感じがあると思いますが、どうでしょうか。
c.黒っぽくても一部に輝く部分があると、暗くならない
これは、一番影響を受けた言葉です。それまでそんなことを考えたこともありませんでした。そして、それが美しいことも分かったので、それ以降自分としてはそんな写真を大事にしています。
上の三つの写真をクリックして、ぜひ大きな画像でご覧ください。
2-2.EOS学園講師
色補正するときは、あくまでも自然な色を心がけること。
EOS学園のある講座でのことです。その講座ではその前の週に外で撮影し、それを各自がA4プリント作品として仕上げて、講師や他の受講生に紹介し評価を受けるという内容でした。
あるときの提出作品が上側です。先生から「青すぎて、不自然だ。」と指摘され、撮影時のピクチャースタイルを「風景」ではなく他のピクチャースタイルに変えた方がよい、とのアドバイスがありました。
そこでDPPを使ってピクチャースタイルを「スタンダード」に変えたのがその下側です。
当時の自分は、風景を撮るときはピクチャースタイルを「風景」にしておけばOKと考えていて、物の色をそこまで厳しく見ていませんでした。確かに上側の例では青い光が上から当たっているようで不自然です。
機械まかせにすることなく、 常に自分の目で色合いをチェックすることが大事であることを理解しました。
なお、あとでDPPで仕上げるであれば、カメラのピクチャースタイルの設定は「ニュートラル」にしておくのが好ましいと思います。
小タイトルの「色補正するときは・・・」という表現は直接はこの例に当てはまりませんが、自分の理解として、実物の色合いを大事にするという意味で、このような表現にしました。
2-3.杉山浩
a.三脚は不要
昔のカメラとは違って、今のデジタルカメラは千分の1秒より速いシャッター速度を選択でき、ISO感度も1000以上にすることもできます。
さらにレンズにはほとんど手振れ補正機能が搭載されているので手振れの心配をすることなく、高速から低速まで幅広くシャッター速度を選べます。
ある撮影会で写真家杉山浩氏は、「今のカメラは手振れの心配が少ないので三脚を使うことを優先するよりも、自分が積極的に動いてベストの構図を決める方が良く、その意味で三脚はいらない。」と言われていました。
これは目からうろこで、それ以降は長時間露出(バルブ)撮影などを除いて三脚を持ち歩くことがなくなりました。
これで重い三脚から解放されました。
因みに上の写真は、100-400mmのズームの300mm設定、ISO感度100、絞り5.6、シャッター速度1/2000、で手持ちで撮っています。ちょっと前なら、300mmだと手振れの心配から三脚は必須でした。
この写真は、早朝の外気温がマイナス3℃であることの記録のために撮ったもので、24-105mmの80mm設定、ISO感度400、絞り4.0、シャッター速度1/60、で手持ちで撮っています。夜明け頃の薄暗い状況でも手持ち撮影が可能です。
b.有名画家の絵を見た方がよい。
有名な画家の絵には、素人目にも素晴らしいものがたくさんあります。
その構図や描かれているモノの配置や間のとり方など、その絵を素晴らしくしている要素を見つけて、自分の写真に応用することが大事と言われているのだと思います。
個人的に好きな絵はいくつかありますが、宮本武蔵の枯木鳴鵙図も好きな絵のひとつです。白紙部分のとり方と筆使いのいさぎよさは、さすがと思います。
その白紙部分のとり方を参考にして撮ったのが上の写真です。
c.マニュアルモードで撮った方がよい。
これも杉山先生にカメラの液晶モニターで写真を見てもらっているとき、言われたことです。
それまで、スマホ写真との差を出すためにカメラの撮影モードをAv(絞り優先)にしてボケ具合を優先し、明るさに問題あるときは露出補正するという撮影スタイルでした。
「それはそれとして、絞り、シャッター速度、ISO感度を都度自分で決める方が幅広い条件を選択でき、ちょっと面倒くさいがすぐに慣れる。」とアドバイスがあり、それ以降マニュアルモードにしています。
特に明暗差の大きな場面では非常に有効です。上の写真は、ISO100、絞り9.0、シャッター速度1/1000で撮って、白線とガードレールを強調しています。
いまだに一発でベスト条件にすることはできませんが、一つの設定条件を動かしたとき、その効果を実感できるので、カメラまかせでない充実感があります。
さらに、これを実践することで、いろんなシーンに対応する自信ができました。
2-4.田村彰英
最初に言いますが、田村先生に直接指導を受けたことはありません。
従って、ここで言いたいのは撮影術というより、先ほどの宮本武蔵の話しに近い、モノの見方というかセンスの問題だと思います。
自分は、東京都写真美術館で開催された展覧会で先生の作品を見て、こういう写真を撮りたいと思いました。
そのときの感じは、普通の風景が芸術写真になるんだ、という衝撃でした。特に「Afternoon(午後)」というシリーズは、街でよく見かける風景なのに、それに着目して作品として成立させているのに驚きました。
指導を受けてないので、先生の言葉を撮影術として紹介することはできません。それでも、なんとかその作風をモノにしたくて街で気になったものを撮るようにしています。
これらは田村風を意識したもので、これらに類するものは自分のWebフォトギャラリーの「街」でその一部を掲載しています。
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